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刑務所しか居場所がない人たち : 学校では教えてくれない、障害と犯罪の話


山本譲二の新刊が出ていたので、読んでみた。
この人の本は、ずいぶん前に「累犯障害者」というタイトルの本を読んで衝撃を受けたことがあり、その後「獄窓記」も読んだ。

この人はもともと政治家の秘書で、献金問題で有罪判決を受けて収監されたという経歴を持つ人だ。この上記2冊はいずれもその時の経験をもとにした本だ。
献金問題については分からないけれど、これらの本の主眼は「多くの知的障害者が、居場所や受け皿がないがために犯罪者となり、刑務所でも刑務作業を理解できないまま無為な日を送り、刑務官はその世話に追われている」という衝撃の話だった。(今はこういうことも多少知られてきているかもしれないけれど、当時は衝撃の話だった)

今回の新刊は、それをいくらか年少者向けにした感じの本で……。
でも、悪いんだけど、今一つだった。
というのも、まずターゲットが分からない。たぶん年少者向けなのだと思う。一部の感じにルビがふってあったり、文章が語りかけ調だし、時折文中にも若い読者向けの呼びかけが出てくるし、少し専門用語になると説明がついている。だけどその割に言葉が固い。
それから、題材に新しいものがあまりない。もちろんこの人はいろいろな取り組みをしているようで、それは文中からも分かるのだけれど、実際にそういう立場にある人と生々しく接したエピソードのようなものが少ないので、インパクトに欠ける。

だけど、それは3冊目だからかなあ。これを1冊目として読む人には十分なのかなあ。

とはいえ、難しい話だと思う。
知的障害者(が多い)が物事の是非も理解できないまま刑務所で暮らすというのは変な話だと思う。なお、ここでの大半は殺人などの重大犯罪ではなく、コンビニでのおにぎりの万引きのような少額の窃盗などで、通常であれば真摯に謝罪して弁償すれば示談になるような軽微な(万引きでつぶれる店もあることを考えれば軽微と呼んではいけないかもしれないが)犯罪だそうだ。
そうなってしまうのは、社会に受け皿がないので、出所しても結局お金も居場所もなく、また窃盗をして刑務所に戻ってきてしまうのだと言う。
それを聞けば、問題だなと思う。
だけど、現実に自分の職場でそういう人の入社の相談をされたら……。
怖い、と思わないだろうか。

本については辛口なことも書いたけれど、この人がまだこの方面で活動していることが分かって良かった。
これからも頑張って欲しい。
今は応援しか出来ないけれど、いつか何か自分が役に立てることがあったらと思う。



獄窓記 (新潮文庫)


累犯障害者 (新潮文庫)


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2018.08.12 Sun l 日常 l コメント (0) l top

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