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先生はピアノを弾かない

私は今通院しているメンタルクリニックで初診にして発達障害との診断を受けたのだが。
その初診の際の診察中、指を動かすテストをしたときに、「ピアノを習ったことはありますか」と尋ねられた。
「ピアノはありませんが、エレクトーンを習ったことはあります」と答えた。

診察が進む中で、先生のタイピングに意識が向いた。
かたかたかた、とリズミカルな音がする。先生の指が綺麗なリズムで動く。私より上の世代というとなかなかブラインドタッチも多くない中、先生のキータッチは綺麗だなと思った。これはきっと、もともと指を動かすことに慣れている人に違いない。

あ。そういえば私、自分の話しかしていない。
会話は相手のことも尋ねないといけない。

「先生こそ、ピアノを演奏されるんですか」
私がそうたずねると先生は「いえ、私はピアノは全然」と答えた。
「そうですか。いえ、タッチがとても綺麗なので」と言うと、先生は「そうですか」とちょっとためらってから、「ありがとうございます」と付け加えた。

これは私的には正しいお作法だった。
一方的に自分のことを話すだけではなくて相手にも質問を返したし、悪いところを言ったわけではなくて良いところを褒めた。

だが、後日。私は「こういうときには先生に質問する必要も先生を褒める必要もない」と聞いた。
ま、まあ確かに言われてみれば、私も風邪をひいてお医者さんにかかったら、「先生はお元気ですか’」とは尋ね返さない。
だけど・・・精神科の初心て長いし。つい、自分のことばかり話しているようで悪いと思っちゃったんですよ。

その後、私の通院歴も数年になるけれど、私は先生にそれ以外の質問をしたことがない。
この数年、先生のカルテには私に関する膨大な個人情報が記録されているはずなのだけれど。

そして私はこういう一方的な人間関係が嫌いではないな、と思う。お医者さんとの関係というのは、自分が話題を考える必要もなく、会話のキャッチボールに気を配る必要もなく、面白い時事ネタを知っている必要もなく、でも困っていることは聞いてもらえて、運が良ければアドバイスももらえて、なんて楽なのだろう、と思う。
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プロフィール

あゆみ

Author:あゆみ
大人の(成人)発達障害です。「発達障害のわたしのこころの声」(学研)の著者です。
本には書けなかったこと、本を出してからの日々を綴っています。
会社員と一人暮らしが出来ていているのに、発達障害は確かなようです(診断済み)。



発達障害のわたしのこころの声 (ヒューマンケアブックス)

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