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「コンビニ人間」

「コンビニ人間」という本を読んだ。
発達障害という言葉は一度も出てこなかったけれど、間違いなく発達障害のようだ。
きちんとした普通の家庭に育ち、両親からも妹からも愛され、でも異端だ。
子どもの頃のエピソードに、公園で死んでいる小鳥を見つけ、親が「かわいそうね。お墓作って埋めてあげようか」と言うと、主人公は「持って帰って食べよう。お父さん、焼き鳥好きだから」と答えるものがある。お母さんは当然、ぎょっとする。
分かるなあ、と思った。
こういわれたらたいていの人はぎょっとする。でも、言った側としては筋が通っているし、お父さん思いとすら言える発言なんだよね。

そしてこの主人公は、普通でないことがばれないように、出来るだけしゃべらないという処世術を身につけて成長し、コンビニの店員になる。コンビニ店員としてマニュアル通り、何をやればいいのか分かっている環境でだけ、自分は正常な部品として機能していると思えるのだ。

以下、ネタバレあり。
そしてこの本の良いところ(というか個人的に気に入ったところ)は、この話に別に何の救いもないところ。
劇的な事件もないけれど、急に幸せが訪れるわけでもない。
話の中で主人公は、やはり少し社会からずれてしまったコンビニ関係者と同棲することになる。こうなれば普通は、その中でやがて恋愛感情が芽生え、人を愛する喜びを知り…のような展開を予想するけれど、そんなうっとうしくて非現実的なことにはならない。
「普通になって欲しい」と願う家族との関係もそのままで、妹には「お姉ちゃんはどうしてそんななの。どうして普通になれないの」と泣かれてしまう状況が続いている。
もう36歳だ。今の私から見ればまだ若いじゃんと思える歳だけれど、世間一般に言えば、36歳で、コンビニのアルバイト店員で、結婚もしていなくて、となればそれはやはり前途は明るいとはいいにくいだろう。
だからといって、悲劇的な結末というわけでもない。
きっと、彼女は淡々と、贅沢もせず多くを望むこともなく、周囲への違和感と困った感を抱えながら、自分に出来ることをして生きていくのだろう、それしかないのだろうと思わせられるような話だった。

暗いといえば暗いかもしれない。でも、この主人公の何が悪いのか?
親元から自立し、自分の収入内で生活をし、一つの仕事に熱心に取り組み、責任を果たし、それで結婚や恋愛をしていないからといってなぜ責められないといけないのか?

でも、世の中そうなんだよね。
死んだ小鳥を食べた方が合理的でも「可哀想」と一緒にいって涙ぐまないといけない。
友達がいなかったら大変だ。もっとお友達を作りなさい、一緒に遊びなさいと言われる。
社会に出るときには正社員として就職して、30歳前後には結婚して、子どもを持たないといけない。
真面目に働いていても、一人だというだけで何か欠陥があるんじゃないかぐらいの勢いで非難されてしまう。
私もそういう世の中を窮屈だな、と思う。
東京という個人のライフスタイルが自由で、独り者に暮らしやすい街に生きていてすら、そう思う。


コンビニ人間 (文春e-book)

※難点としては、ボリュームの割に高い気がした。
Kindle版はポイント還元セール中だったからいいけど。
定価で買うのは少しもったいないかな。
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プロフィール

あゆみ

Author:あゆみ
大人の(成人)発達障害です。「発達障害のわたしのこころの声」(学研)の著者です。
本には書けなかったこと、本を出してからの日々を綴っています。
会社員と一人暮らしが出来ていているのに、発達障害は確かなようです(診断済み)。



発達障害のわたしのこころの声 (ヒューマンケアブックス)

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