苦手なことを克服する方法

忙しいので部下を採用することにして、先月から採用活動をしていた。今の会社は知名度もないし安定もしていないし、そうそう優秀な人材が押し寄せてくるような会社ではない。その中でおそらく数十件の履歴書を見て、15人ぐらいは面接をして、その中から選んだ人を上司に紹介した。

上司、絶賛。
「あゆみ~ 見る目あるわ! いい人ね!」
普段辛口の上司なのだけれど、ずいぶん気に入ったようだった。

その他、面接した人達も「いい人選んだね」「見る目ありますね」と言ってくれた。

実は私は人を見る目はない。面接は騙される方だ。
そりゃそうだ、人の言葉の裏は読めないし、顔色や表情は分からない。言ったことを額面通り取るとすれば、そりゃ面接来る人なんて表面的にはいいことしか言わないもんね。

そんな私が面接の達人……とまでは言わないにしろ、採用で外さないのにはコツがある。
それは「人を見る目がある人に一緒に面接に出てもらう」だ。

今回も、「あ、この人、人を見る目がありそうだな」と思った人に一緒に面接に出てもらっていた。
面接後の印象は私は今一つに思ったのだけれど、その人が推すので、まあこの人がそういうならとキープしておいたのだ。それでその後他に候補がいなくて人事に回したらそこでも高評価だったので、それならと思ったというわけだ。

自分に見る目がなかったら、見る目がある人の言うことを信じる。見る目がある人に頼めるだけの関係を作っておく。
これでいいんじゃないか。

私はペーパードライバーだけれど、一度だけ中古車を買ったことがある。この時は車に詳しくて中古車の売買も何度もしているという人に一緒に来てもらった。私はまったく分からなかったけれど、その人が「これはいい車。お買い得」と言うので、その人がそう言うならと信じて買った。
非常に良い車だった。

一度、ちょっと記念にいい腕時計を買おうと思ったことがあるが、私はそういうセンスがないので、センスのいい母に一緒に買い物につきあってもらった。その時買った腕時計は今でも人に「それ、いいね」と褒められる。

なんかもう、それでいいと思う。
今から私が人を見る目や車を査定する能力やセンスの良さを磨こうとしても無理だ。そんなことを自分でやろうとして失敗するより、他人頼みで切り抜けられるならそれに越したことはない。

その代わり、私はそういうことが出来る人達を信用して、その判断を尊重する。そして決定の責任は自分で取る。
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筋力も凸凹

ジムに行ったときのことだ。
トレーナーが、私の体力と筋力を見るということで、いくつか運動やストレッチをした。

トレーナーのコメントは、「うーん、あゆみさんは(トレーナーの)動作を真似することは大体できるんですね。ただ、本来そのために使う筋肉が正しく使えていません。あゆみさんは強い筋力と弱い筋力の差が極端で、強い筋力で無理やり弱い部分までカバーしてるんです。だから強い部分は過負荷がかかってパンパンだし、弱い部分は怠けて全く働いていません」

うう。
これ、筋力の話ですよね…。
私の「能力」に置き換えても、見事にぴったり当てはまると思った。

カサンドラ

カサンドラ症候群という言葉を聞くようになった。
発達障害のある人と結婚した人が、相手の理解できない言動に振り回され、消耗することを言うようだ。
カサンドラ症候群は理解されずに辛い、と言う。

えーと。

「空気が読めない夫に疲れた」
いやいや、空気を読めとかわけの分からないことを言ってくる相手に疲れているのは発達障害者の側です。
「マイペースに生活する妻にイラつく」
あのう、家でぐらいマイペースでくつろぎたいって思ってはいけませんか。
「相手の気持ちを考えない暴言に傷ついた」
そういうあなたは相手に暴言吐いてないですか? 普通じゃない、ありえない、信じられない、絶対変、と否定して責めていませんかね。

発達障害がある側だってストレスを感じていても不思議はないのに、なぜ相手方ばかりがクローズアップされるのか。
大体、いわゆる健常者だって他人の気持ちを考えない人や他人を傷つけて平気な人はたくさんいますよ。
問答無用で発達障害者の側が加害者で健常者(かどうかは知らないが)の側が被害者のような決めつけ方はやめてほしい。

私の忘れ物対策

私は忘れ物の多い子どもだったけれど、今の私は当人比で言えばずいぶんと忘れ物をしなくなった。
今日は私の忘れもの対策編です。

外出時に持っているものを置き忘れない、という対策は「荷物を1つにすること」「見える範囲から離さないこと」だ。
荷物は、1つなら覚えていられる。でも2つ以上になると1つ持ったら満足してしまって残りを忘れるということがよくあった。手提げが2つというのは最悪で、ほぼ1つは忘れる羽目になる。忘れるどこか道を歩いている間(たぶん)に落としてしまいそのまま気づかずに帰宅ということもあった。
今の私は荷物は必ず一つだ。
荷物を置いた場合は体に密着させる(足の間に置く)か、見える範囲に置く(電車で網棚に載せるのは立っていて見ている場合のみ。座るときは必ず膝に置く)。
子どもの頃困ったのは傘で、傘があるとどうしても荷物が二つになってしまう。分かっているのに忘れるのだ。今日は傘があるから気を付けようと思っていても忘れる。今は傘は折り畳みしか使わない。折り畳みなら袋に入れてバッグにしまってしまえば荷物1つというのは維持できる。

持って行かないといけないものを忘れること、が減ったのは「思い出したときに荷物の準備をしてしまう」と「メールの利用」だ。
明日持っていかないといけないものがあったというときは、前夜のうちにバッグに入れるか、靴の上に置いておく(玄関に置いておくだけでは不十分なので靴の上)。例えば直前まで冷蔵庫に入れておかないといけないものの場合などは、それを入れていく袋だけ靴の上に置いておいたりする。
メールは、会社で「翌日、家から持ってこないといけないもの」があるときによく使う。例えば、翌日会社に印鑑を持っていかないといけないとする。その場合は、そういう必要が生じたときに会社のメールから自分のプライベートメールに「会社、印鑑」とタイトルだけのメールを飛ばす。私はメールは毎日チェックするので、これで家に帰ったときに必ず気づく(そして気づいたら速攻通勤鞄の中か通勤靴の上へ!)
これはたまに逆パターンも使っていて、「そうだ、明日これ会社で確認しなくっちゃ」というようなこと(例えば健診の日程)は、そう思ったときに家のメールから会社のアドレスに「健診日程確認」のようにメールを入れておく。会社で見れば思い出せる。

ちゃんと覚えていよう、忘れないでいよう、と子どもの頃はずいぶん努力した。母にも「何で覚えてられないの!」「きちんとしなさい!」「この前も傘なくしたばかりでしょう。何で同じ失敗繰り返すの!」とさんざん怒られた。自分でも何でだろうと落ち込んだ。そして何か忘れ物や落とし物をして帰ってきたことに母より先に気づいた場合はまた怒られると思ってびくびくしていた。怒られて泣いて謝るのだけれどまたすぐ翌日にでも忘れ物。そりゃ母も怒るわな。

でも、覚えてられないものはしょうがない(開き直り)。
覚えてなくても忘れない方法を工夫できたら、それでいいよね。

そしてもう一つ。
さんざん忘れ物をした私が学んだことは、「たいていの忘れ物はなんとかなる」だ。
こういう「気持ち対策」も重要で、私はこう思うようになってからずいぶんと忘れ物のプレッシャーから解放された。
そして私の忘れ物のプレッシャーは主に「母に怒られる」だったので、一人暮らしをしてからはこのプレッシャーから解放され、そうするととても気持ちが楽になった。

今の私は子どものころより減ったとはいえ忘れ物をしないわけではないけれど、でもあまり忘れ物にびくびくしない。

もし本当に励みになったのなら嬉しい

知り合いのお子さんが発達障害と診断されたそうだ。
普段から問題行動が多く、知能的には高いそうなのだけれど、親は頭を抱え、お母さんも精神的に不安定になっていたりするらしい。

「成績は悪くないのに……でもきっとこの子はまともな社会生活は出来ないだろうと思うと、この先どうしていいか分かりません」というその人に、「実は私、発達障害なんです」と言ってみた。
「まあ私が送っているのが、〇〇さんの考えるまともな社会生活かどうかは分かりませんけど。でも、私程度になら社会に適応できるケースもありますよ」と言うと、その人は「あゆみさんぐらいまで社会生活が出来るなら素晴らしいです!」とちょっと微妙な発言をしたが、それから「子どもがしきりに海外行きたいと言っているんですが、あゆみさんも海外で活躍されたんですよね」と言った。
「そうですね。海外は苦手の克服より得意を伸ばすを重視しますから、発達障害には向いているかもしれないですね。私も居心地は良かったですよ」と答えた。
「子どもに、そういう選択肢もあると話をしてみます」と言っていた。

もし、本当にその人がそう思ってくれていて。お子さんにその話をして。
お子さんの将来の選択肢が増えることになったら、嬉しい。

私は自分がこんなであることに長年悩んできて、苦労してきて、なんで私ばかりと恨みにも思う。
でも、自分がこんなであることが、誰かの役に立つのなら、それはそれで嬉しいと思える。
プロフィール

あゆみ

Author:あゆみ
大人の(成人)発達障害です。「発達障害のわたしのこころの声」(学研)の著者です。
本には書けなかったこと、本を出してからの日々を綴っています。
会社員と一人暮らしが出来ていているのに、発達障害は確かなようです(診断済み)。



発達障害のわたしのこころの声 (ヒューマンケアブックス)

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